真剣にって?
先日、初段になったばかりの人が道場を辞めていきました。
まあ、去る者追わず、来るもの拒まずが福田先生の考えでので、私も彼に何も言うことはありません。
とりあえず、やめる理由を聞いたところ、「他の武道を習いたい」とのことでした。
今度行く予定の流派を聞いたら古武道系でした。
「私には合気道はむいてなかった。合気道より○○○の方ができる気がして・・・
福田先生の合気道の教えを新しいところでも活かしていきたい」
と先生や仲間に彼はお別れの挨拶とともに言いました。
様々な諸事情でやめるのは致し方のないことでしょう。
でも、彼のやめる理由はの言葉はちょっと引っかかるものでした。
彼と頻繁にやりとりがあった仲間から話を聞きましたが
「いつまでたっても黒帯になれない」
「よそは(古武道系)皆が真剣に稽古してるのにうちの道場のユルさって言ったら・・・なんで真剣に取り組まないんだ!と思ったらやる気が失せてきた」
等々、半年近くいろいろ彼から不満や愚痴を聞かされていたそうです。
確かに、福田先生の道場はいつも笑いがあります。
みんな楽しそうに稽古しています。
でも私はいつも真剣です。皆もそうだと思ってます。
顔はニコニコとして稽古していても、うまくいかなくて泣きたいときも多いです。
だから彼がそんな不満を持っていたと聞かされるまでは自分たちが
”ぬるい稽古してる”
とは思ってなかったのでした。
私には合気道、これ一つしか無いって気持ちで福田先生に師事して夢中になっています。
高い目標の前で、どちらかといえばうまくいかなくて、悔しくて、情けなくて、泣きたいときのほうが多いですよ。
好きで好きで好きで、追い求めてるのに届かない歯がゆさで一杯です。
道場では和気あいあいと楽しそうにやってますけどね。
顔に出すのは悔しいから。(//∇//)
私にとって道場の稽古はぬるいどころか冷水や熱湯です。
それぞれの心の持ち方で道場の稽古はぬるくも感じ、厳しくも感じるんだと思っています。
彼には福田先生の道場をぬるいと感じたのは本当なんでしょう。
私と同じ気持ちと思ってたのでちょっと寂しかったですけど。
刺すような緊迫感があって、エイ!ヤア!トオ!と気合い声と骨と骨がぶつかる音が響く道場だけが真剣な道場とは限らないと思うんだけどなあ・・・・
こんな私の考えがやっぱ、甘ちゃんでぬるいんでしょうか。
彼に言わせればそうかもしれませんね。
否定はしません。
私は稽古を始めて10年を超えました。
今まで一度も道場で怪我をしたことがありません。(ぬるいからなのか?)
ここ10年では私は福田先生門下の弟子の中では稽古日数も先生や先輩に投げられた数もナンバー1だと胸を張って言えます。
涙を流し鼻水を垂らすほど厳しい技もたくさん受けてきました。
「ぬるい稽古だ」
とのたまった彼は約5年の福田先生門下在籍時に2度道場で骨折して長期離脱しています。
「真剣に稽古に取り組め!」
とは簡単に言ってくれますが、私にとって一番の真剣さは怪我をしないことです。
どんな優れた技を身につけてようが、かたわになってしまえば能力が存分に発揮できないのではないでしょうか。
それに怪我した時、気まずいのはその相手です。
私はまた明日も楽しく稽古したいですから気まずくなるのはナシです。
福田先生が
「ぶつからないように」
「相手に合わせる」
「強引にやらない」
と言うのはトリの技術論として一般的でありますが、ウケが身を守ることでも大切なことであります。
適当な危険な技をやろうとしてる人に受けが合わせてやることはないですけどね。
話が脱線したようですが、合気道は真剣にやっていなかったら大きな怪我をする技が数多くある武道なんです。
だから合気道は試合はしないんです。
「合気道より○○○の方ができる気がして。
合気道の教えを新しいところでも活かしていきたい」
彼はそう言いましたが、そんな気持ちの持ち方だとダメじゃないかなと引っかかりました。
もっと真っ白になって、素直になって、新しい気持ちで一から学ぶ方がいいと思います。
合気道を活かして、柔道を活かして、などと始めっからは思わない方がいいかなぁと思いました。
「合気道より・・」ってところも、次に習う武道を甘く見てる感じもして嫌な言葉のチョイスでした。
「合気道は初段がスタート。それから合気道の本当の修行がはじまる」
と福田先生は言います。
初段になったばかりの彼はまだ合気道の修行をこれから始めるところなんです。
そんな彼が、一体合気道の教えの何を活かしていきたいと言うのでしょう。
意地悪言いすぎですが、彼に限らず多くの合気道家の初段って本当にそんなもんです。
空手や柔道の初段の重さはありません。
次のに習うであろう武道で中途半端な合気道知識を出していくのが良いことなのでしょうか。
去る者追わず、来るもの拒まず
ですので、また帰ってきたくなったらいつでもOK
シンプルに
「好き」
であるかどうかです。
彼にとって今は合気道が一番好きではなくなったんでしょう。
でも合気道がまた大好きになった時は仲間です。
合気道が大好きなもの同士また楽しく稽古しましょう。