初心

新年を迎えたと思ったら一月ももう終わりです。

今年の稽古も通年通り正面打ち第一教からはじまり、二教、三教、四教と

順番に稽古してきました。

そして「小手返し」「入り身投げ」「呼吸投げ」「四方投げ」「腰投げ」等々の

投げ技を練習しながらまた一教に戻る。毎月の稽古はその繰り返しです。

一教はもっとも大切な技です。「体の変更」「諸手取り呼吸法」「座り技呼吸法」

の次に覚える合気道の技は一教です。

入門したての初心者にはまずは正面打ち一教から稽古します。

そこから、横面打ち、片手取り、相半身片手取り、諸手取り、両手取り、胸取り、

肩取り、両肩取り、袖取り、袖口取り、後両手取り、後両肩取り、後胸片手取り、

突き、それぞれの一教を学びます。

表技と裏技もあり、基本と氣の流れもありますし、座り技もあります。

今挙げただけでざっと90種です。

間合いの取り方、持たれた箇所によっての合わせ方などが微妙に変り、入門したて

のころの私には同じ一教でもまったく違う技のように感じたものです。

一教は続く二教や三教などの母体になる技なので、新人さんや合気道体験の方がいる

ときは一教の稽古中心になります。

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福田先生曰く

「大先生の稽古のときも新しい人が入ってくっと一教に戻るんですよ。

先輩らは嫌なんですよ(笑)。せっかく難しい技の稽古もやれてたときに

また一教に戻んのはつまんねえからって。でもそこがいいんですよ。

他の技もいろいろやってきて戻るってのがいいんです。

一教が大事なんだってわかるんです。本当は一教が一番難しいんだから。

シンプルだからごまかしがきかないんですよ。基本技を繰り返し繰り返しやって、

一教に強くなるんです。

 

私の白帯から初段のころの一教を含めた多くの技は力まかせや勢いでやっていたので

先輩や同輩が手を抜いて受けていてくれたから極っていた。研修期間も終えれば彼等

だってサービスで受けをとってくれる事はなくなります。

身につけたと思っていた種の技も全くできていなかったと愕然とすること事もあります。

そうなったら砂漠の蜃気楼を追いかけるようなもので、どの方向に進むのかわからなく

なることがあります。稽古では何度も挫折を繰り返します。

以前は容易に技をかけることができていた後輩にすら多少つまずくこともあるのです。

座礁し大きくへこんだ時に私が先生に泣き言を言いました。

「先生、私はなにか間違った方向を向いて稽古してるんじゃないかと不安な気持ちに

なります。いつまでたってもこれだっていうものを掴めない。

いつも先生にゆっくり丁寧に教えていただいてるのに・・・・

ヘタクソで嫌になります。」

 

福田先生曰く

「自分がうまくなったかどうかはわかんないんですよ。

小島さんがちょっとできるようになっても、まわりのみんなも一緒にうまくなるから。

真面目で熱心な人は稽古を休まない。うまくなる人はみんな稽古を休まないから

追いつけないんです。だからどうすればもっとよくできるか悩んで考えて休まず練習

するのがいいんです。」

 

先日、土浦つくば合気会の25周年祝賀会に向かう車中で先輩の田中さんに

「一番大事なものは最初にありますよ。呼吸法、一教。先生は最初に全部教えてくれて

ます。それが見えて理解できるかどうかっちゅう問題でね。俺も未だわかんないとこ

いっぱいありますよ。でも、とにかく稽古を積んでいけば徐々に見えて来るし、

言われた事もなんとなくわかってくるんですよ。」

 

どの方向に進んだらいいかなどと私は迷うことはないのです。

福田先生がいつも辻に立っているからです。

来月からまた反復練習あるのみです。頭も身体もフル回転です。

福田先生の合気道を頭に身体に焼き付けるのです。